「由井くんとは最近知り合ったばかりだったんですけど、学校も違うし、共通の友達もいないし。だから、事故のことも昨日知ったばかりで……」
「そうだったんだね……。周に、君みたいなかわいい友達がいたとは知らなかった。事故のあとに周のスマホを見たら、部活の連絡網みたいなグループラインぐらいしか登録されてなかったし。あと、周に嫌がらせしてたあいつら……」
「あいつら?」
聞き返すと、わたしに優しく笑いかけてくれていたお兄さんの表情が曇る。
「ううん、なんでもないよ」
お兄さんはごまかすように首を横に振ったけど、なにかが引っかかる。
もう少し突っ込んで聞いてみてもいいものか迷っていると、お兄さんが腕につけていた時計に視線を向けた。
「ごめん、俺、もう行かなきゃいけないんだ」
「そうなんですね……」
「うん。だけど、ぜひゆっくりしていって。家族ぐらいしか会いに来ないから、話しかけてやったら喜ぶと思う」
お兄さんはそう言うと、少し切なげな目でベッドに眠る由井くんを見つめてから、病室を出て行った。
お兄さんが出て行ったあと、病室に置いてあった花瓶に持ってきたお見舞いのお花を生けて、ユーレイ状態の由井くんとともに、ベッドに眠る由井くんのそばに立つ。



