「事故に遭う前の周は、それまでの周とは全然印象が変わってすっかり垢抜けてて。もしかして言ってた好きな子とうまくいったのかなって思ってたんだけど……。周の片想いのままだったのかな……」
由井くん本人がそばで話を聞いていることなんて知らないお兄さんが、淋しそうな目で笑って、ふっと後ろを振り返る。
広い個室の中央には白いベッドがあって、そこに由井くんらしき男の子が横たわっていた。
淋しそうなお兄さんの表情と、ベッドに眠る由井くんの姿を目の当たりにして、胸がぎゅっと詰まる。
嘘でもいいから、由井くんの彼女ですって言ったほうが、お兄さんは嬉しかったのかな……。
一瞬、そんな考えが過ぎったけど、やっぱり嘘はよくない。
「あの……、わたし、三住 衣奈と言いまして。彼女ではないですけど、由井くんの友達です」
そう言うと、お兄さんと、それから由井くんが、ハッとしたようにわたしのことを見てきた。
友達って言ったの、だめだったのかな……。
由井くんはわたしを好きだってことしか覚えてなくて、わたしは彼に憑けられてるっていう変な関係だけど……。
ここまで関わった以上、わたし達の関係は確実に知人以上だし。友達って言うのは誇張じゃない、よね……?
由井くんの反応に少し不安になったけど、お兄さんの前ではこのまま友達で通すことにする。



