「なんとなく自分の話のような気もするけど、あんまりピンとこない」
「そっかあ」
ラインで送られてきた文章をもう一度読み直してから、わたしはスマホをベッドの布団にポイッと放り投げた。
「今度こそ、なにかわかったと思ったんだけどな……」
ぼやきながらベッドに仰向けに寝転がると、由井くんがなんだか申し訳なさそうな顔をしてわたしのそばに正座する。
「あの……、ごめんね。今日はいろいろと迷惑かけて……」
由井くんが、膝に手をついてうなだれる。今はもう黒いオーラは出ていないけれど、しょんぼりとする彼の顔は、叱られた犬みたいだった。
「迷惑とは思ってないよ。でも、ビックリはしたかな。由井くん、しばらくパニックでホームの3両目の乗り場から動かなくなっちゃったし」
「うん、ごめんね……」
高校の最寄り駅のホームで、由井くんが突然うずくまって震えだしたのは、3両目の乗り場の近くに立っていた青南学院のガラの悪そうな三人組のせいだと思う。
あの人たちのほうから、一週間前の事故のことや由井 周という名前が聞こえてきたあたりから、たぶん由井くんの様子はおかしくなった。
ホームにうずくまってしまった由井くんは、わたしがそばに言って話しかけても全然震えが治らなくて……。
青南学院の三人が電車に乗って去って行ったあとも、由井くんはずっと青ざめた顔をしていた。