電車がホームに停車して、ドアが開く。
乗り降りする乗客が、ホームのギリギリ端っこでうずくまっている由井くんに気付くことなく、彼の半透明の身体を通過していく。
うずくまって震える由井くんの背中を見つめながら、わたしは思い出していた。
これは、何ヶ月か前に見た光景と似ている。
あのときは、たまたまホームに入ってくる電車はいなくて。わたしは、白線の外側で具合悪そうにうずくまっている青南学院の男の子の背中に声をかけた。
「大丈夫ですか……?」
声をかけた男の子は、髪がボサボサで、長い前髪から少しだけ覗く目はおどおどと怯えるように左右に揺れていて。顔は青白く、唇も真っ青だった。
「さ、わらないで……。お、れ……」
最初は具合が悪くなってうずくまっているのかと思ったけど、今にもホームから落ちてしまいそうなギリギリのところで、切羽詰まった顔をしている彼を見て、様子がおかしいと気が付いた。
この人、もしかして――。
確信は持てなかったけれど、彼からなんとも言えない危うさを感じて、膝を抱えて震えている彼の手にそっと手を置く。
ビクッと震えた彼の手を怖がせないように、だけど絶対に離さないようにぎゅっと握ると、わたしはゆっくりとした口調で話しかけた。
「君は嫌かもしれないけど、離せないよ。あっちに座って、なにか飲み物でも飲もうよ」



