「心配すんなよ。俺の親父が出てくるまでもなく、あれは誰がどう見てもただの事故だよ」
「でもキッカケはさ……」
「キッカケとかじゃねーよ。勝手に飛び出して、勝手に事故ったのは由井 周。それが事実だろ。いちいちビビんな」
え、由井――?
瑛士の唸るような低い声に、心臓がヒヤリとした。
この人たちが話してる由井 周って――。
ふと見ると、さっきまでわたしの隣で落ち込んでうなだれていた由井くんがいない。
嫌な予感にドクンと心臓が脈打つ。
慌てて周囲を見渡すと、わたしが立っている3両目の乗り場の最前列よりさらに前。ホームの白線の外側で、由井くんが背中を丸めてしゃがみこみ、ガタガタと震えていた。
「由井くん……?」
慌ててそばに駆け寄ろうとすると、ホームに電車が入ってきて、白線に近付き過ぎたわたしは駅員さんに止められた。
「危ないので、下がってください」
「でも……」
白線の外側でしゃがみ込んだ由井くんは、危険な場所にいるのに駅員さんには気付いてもらえない。
彼の姿は、わたしにしか見えていないから。



