「そういえばさ、聞いた? あいつ、事故ってから一週間以上も目ぇ覚まさねーって」
「ああ、どういう経緯で事故に遭ったか、あいつの親が詳しく警察に調べさせてるみたいだよな。おととい、うちの親にももう一度話聞かせろっていう連絡が来たらしい」
「それ、うちも。前話したことと変わらないって、適当に言っといてくれてたみたいだけど……」
盗み聞きをするつもりはなかった。
だけど、ふと聞こえてきた会話が妙に気になって、耳をそばだててしまう。
ちらっと見ると、会話をしていたのはリーダーではなさそうなふたりで。そのふたりが、おもむろに顔をあげながら、「瑛士んとこは?」と話しかける。
ポケットからタバコのケースがはみ出していて、ピアスの数も多くて、一番怖そうでリーダーっぽい雰囲気の人は、瑛士という名前らしい。
瑛士という人は、スマホに視線を落としたまま、「知らね」と面倒くさそうに返事していた。
その態度を見て、ほかのふたりがなんだか意味ありげに顔を見合わせる。
「いいよな、瑛士んとこは。どうせ、お前んちは何やったって親父が全部揉み消すんだろ?」
何やったって、全部揉み消す……?
なんだか物騒な話になってきたな。そう思って横目に見ていると、瑛士という人がようやく顔をあげた。
ちょっと目付きが悪くて怖そうだけど、大人っぽいかっこいい顔の人だ。そんな瑛士が、眉間を寄せて気だるげに息を吐く。



