「たしかに、わたしはアキちゃんのことが好きだったよ」
冷静な声でそう言うと、ハッと顔をあげた由井くんがショックを受けたように青ざめた。
「でも、由井くんに操られたアキちゃんに好きって言われても少しも嬉しくなかった。だから、勝手に暴走して変なことした由井くんにはすごく怒ってる」
「衣奈ちゃん……」
今にも死にそうな顔で、わたしの名前をつぶやく由井くん。
ドヨーンと、暗黒のオーラを放ち始めた彼を見て、わたしは苦笑いになってしまった。
「ただ……、わたしの気持ちに気付いて心配してくれてたことは嬉しかったよ。方向性は完全に間違ってるけど」
「衣奈ちゃん……」
わたしの言葉に、絶望しかなかった由井くんの瞳にわずかに光が差す。
わたしはさらに苦笑いをすると、ポケットからスマホを出して瑞穂にラインした。
《保健室の先生を中庭に呼んでほしい》
とりあえず今は、気を失ってしまったアキちゃんを保健室で寝かせてあげなきゃいけない。



