「何言ってるの、アキちゃん。正気に戻ってよ。アキちゃんは、里桜先輩と付き合ってるんだよ」
「衣奈が、俺と付き合ってくれるなら、今の彼女とは別れるよ。だって、衣奈ちゃんのことが好きだから……」
アキちゃんが……、おそらく自分の意志に反して、わたしに顔を近付けてくる。
そうしながら、そっと目を伏せるアキちゃんを見て、わたしは心臓が縮みあがりそうになった。
わたしの脳裏に浮かぶのは、数日前に見たアキちゃんと里桜先輩のキスシーン。
今からそれが、わたし相手に再現されようとしているのがわかって、めちゃくちゃに焦る。
こんなの、絶対だめでしょ。
由井くんに操作されて、アキちゃんとわたしが……、なんて。
だめ、だめ、だめ……!
「ちょっと待って……!」
拒絶するわたしの肩を抱き寄せようとするアキちゃんに抵抗して、彼の唇を手のひらで塞ぐ。
「由井くん、止めて!」
迫ってくるアキちゃんを押さえながら必死に叫んだそのとき。



