由井くんは、これまでにわたしを金縛りに合わせたり、自転車で事故りそうになったわたしを助けてくれたり……。霊力なのか、なんだかわからないけど、たまに不思議な力を発動する。
もしかしたら、由井くんがアキちゃんになにかした……?
きっとそうだ。それ以外考えられない。
「由井くん、アキちゃんに何したの!?」
由井くんに向かって叫んだ、まさにそのタイミングで、アキちゃんがわたしのほうに手を伸ばしてきた。
「衣奈」
咄嗟のことで逃げきれず、かなり強い力でアキちゃんに腕をつかまれる。
「アキちゃん、痛い……」
顔を歪めて訴えたけど、アキちゃんはわたしの腕を離すどころか、つかむ手にぐぐっと力を入れてきた。
焦点の合わない目でこちらを見つめるアキちゃんに、わたしの声がちゃん届いているのか、かなり怪しい。
「アキちゃん、どうしちゃったの?」
それでも必死に声をかけると、アキちゃんが唇の端をむりやりにつり上げるようにして、歪に笑いかけてきた。
「衣奈。俺、たった今、自分のほんとうの気持ちに気付いたよ」
「アキちゃん、何言ってるの?」
「衣奈、俺と付き合おう」
アキちゃんの話し方は、さっきから台本を読まされているような棒読みで。少しおかしい。
これも、由井くんが操作してるの――?
アキちゃんの後ろにいる由井くんを見ると、彼はうっすらと妖しい笑みを浮かべたままでいる。



