由井くんがわたし達の話に口を挟んでくることはないけど、一週間も一緒にいたのに親しくないなんて答えたら、由井くんは傷付くかな。
仮にも、わたしのことが好きだと言ってくれてるんだし……。
答えに迷っていたら、よそ見しているわたしに気付いたアキちゃんが「衣奈?」と横から顔を覗き込んでくる。
「親しいわけでもないのに、衣奈がその由井って人を気にしてるのはなんで? 最初は聞いたときは、どこかで見かけて一目惚れでもしたのかなって思ったけど、事件がどうとか言うってことは、由井って人のことが好きとかそういう感じではないよな」
付き合いが長いだけあって、アキちゃんは結構するどい。
「衣奈って昔から、おひとよしっていうか。世話焼きなとこあるじゃん? それで無関係なことにも首突っ込んで、相手に勘違いさせちゃったりとか」
「勘違い?」
「うん。ほら、中学のとき、文化祭で体調悪くなった後輩を保健室に連れてってあげたら、そのあとしばらく校門前で待ち伏せされたりとか……。こないだも、駅のホームで高校生を助けて、あとからその人に告られたんでしょ」
言われてみれば、中学のとき、後輩の男の子に一ヶ月くらい放課後に待ち伏せされたことはあった。
なかなか無視もできなくて、あのときはちょっと困ったな……。
でも……、最近駅で助けた男の子に告白されたことは、アキちゃんには話していないはずだ。



