「衣奈ちゃんとふたりだけで?」
嬉しそうに訊ねてくる由井くんにちょっと苦笑いで頷いた、そのとき。
「衣奈」
アキちゃんが、クラスの男子たちと一緒に学食から出てきた。
「アキちゃん」
手を振ると、アキちゃんが男子たちの輪から抜けてわたしのほうに近付いてくる。
「衣奈、今ちょっと話せる?」
「いいけど……、みんなは?」
「いいの、いいの。中庭でも行こう」
アキちゃんがそう言って、中庭のほうへと歩き出す。
「え、ちょっと……」
中庭には由井くんと行こうと思ってたのに……。間が悪い。
怒ってるかな……。
ちらっと隣の由井くんを見る。
もしかして、また黒いオーラを出しているんじゃ……。
そんなふうに思ったけど、由井くんは無表情でアキちゃんのことを見ていた。
由井くんがなにを思っているのかはわからないけど、なんとなく怒ってはいなさそう。
「由井くん、ごめんね」
わたしは小声で由井くんに謝ると、先を歩いていくアキちゃんの背中を追いかけた。



