「examination、shade、labor…」



少年Aは、今日もユメタンと向き合う。

雨の日も、風の日も、炎天下の日も、極寒の日も。

少年Aはユメタンと戦う。

限界を超えても、戦う。

脳の容量を超えても、戦う。


ユメタンの黄色い表紙は、そんな少年Aを嘲笑っているようだった。



そして、少年Aは、本当の限界を迎える。





「ぐっ………!」





突如胸に感じる痛み。


「illness!!!」



こんな時でも英単語が口から出てくる少年Aは、完全にユメタンに侵されていた。

少年は、膝をつく。

口からは英単語と、荒い呼吸が漏れる。



「They communicated with gestures.」




ユメタンに侵された少年Aの最後の言葉は、英文だった。

UNIT4に出てくる例文を呟きながら、少年Aは、力尽きた。


少年Aの倒れた道。

そこには、ユメタン付属の栞が落ちた。

黄色いその栞には。



『通訳者になる!!』



少年Aの健気な夢が綴られていた。