0:そして12月24日、現在

早希:じゃあ、私はずっと健太さんと付き合ってたんですか?

健太:・・・そうだよ

早希:信じられないです

健太:無理もないよね

早希:でも、ずっと違和感を感じてたんです

早希:買った覚えのない服もあったし、自分で書いたはずの予定も忘れてる

早希:ピアスもいつの間にか空いてた

早希:やっと辻褄が合いました

健太:よかった、信じてもらえて

早希:はい、健太さんのこと信じてます

健太:じゃああの場所に行こう

早希:どこに?

健太:俺が早希に告白した場所だ

0:早希と健太は約束の場所に行く

健太:ここに立って?

早希:はい

健太:違う、あと5センチ横

早希:細すぎません!?

健太:いいの、これもお約束だ

健太:じゃあ、改めて

健太:早希

早希:待ってください

健太:え?

早希:私・・・健太さんとの記憶が無いまま健太さんと向き合うのは・・・怖いです

健太:・・・

健太:俺も怖いよ

健太:早希のその敬語も冷たい視線も、さん付けも、また別人だと思えば何とかなると思ってたけどさ

健太:でも、早希の喜ぶ顔とか、照れてる顔とか、美味いもん食ってる顔とか、楽しそうな顔とか

健太:からわれて怒ってる顔とか、優しい顔とか、俺の冗談で笑ってる顔とか、

健太:重いもの頑張って持ってる顔とか、寒がってる顔とか、可愛いもの見てる顔とか、俺の目を真っ直ぐ見る顔とか

健太:早希の仕草一つ一つが俺にとっては・・・

健太:全部・・・俺の大好きな早希なんだよ・・・

早希:・・・また鼻、赤いですよ

健太:今日は泣かせてよ、でもさ、早希

健太:早希の記憶は俺がいる限り無くならないよ

早希:・・・え?

健太:早希のスマホのファイルに、赤鼻ってファイル、あったでしょ?

早希:・・・もしかして、あの鍵のついたファイル・・・

健太:うん、早希の俺に対する愛があればそれは開けられるはずだよ

早希:・・・

0:早希は恐る恐る、鍵付きのファイルに

0:パスワード『1224』を入力した




早希:・・・っ!!

健太:俺たちの写真と動画だよ

健太:記憶はなくても記憶は残せる

健太:早希が無くした記憶は俺が持ってるよ

早希:・・・健太さん

早希:うっ、うううぅ〜〜(泣く)

健太:泣くなよ、俺ももらい泣きするぞ?

早希:健太さんはいつも泣いてるじゃないですか

健太:泣いてないし!

健太:・・・本当は、今日のこの日、早希にプロポーズする予定だったんだ

早希:・・・そうだったんですか

早希:ごめんなさい

健太:いいや、俺と早希はまた、ここから始めよう

早希:・・・はい

早希:健太さん、抱きしめてください

健太:・・・??

早希:これから、私の記憶を健太さんで埋めてください

健太:・・・わかった

健太:でも、これだけは言わせて

健太:好きだよ、早希

早希:・・・私も、好きです

0:健太が早希を抱きしめた



早希:・・・え?

早希:・・・健太?

0:

健太:・・・早希?今、なんて

早希:・・・健太だよね?

健太:うん、そうだよ、健太だよ!

早希:・・・なんで、ここに健太が居るの?

健太:ずっとそばに居たよ!早希!

健太:もしかして・・・記憶戻ったのか?

早希:・・・うん、ぼんやりと

早希:私、健太と・・・

早希:あれ?涙が勝手に落ちてきた

健太:早希・・・うううぅ〜(泣く)

早希:健太、ごめんね、私、健太のこと忘れてたのかな?

健太:なんで、思い出せたの?

早希:わかんない、けど健太の温もりで全部思い出せた

早希:ごめんね、健太のこと覚えてなくて

健太:ううん、早希は俺に言ってくれたじゃん

健太:記憶が無くなっても何度だって俺に恋したいって

健太:早希は・・・俺に好きって言ってくれたんだよ

健太:早希を信じて、ずっと待ってたんだよ!

早希:健太・・・

早希:こんな私のそばに居てくれて、ありがとう

健太:早希じゃなかったら、ずっとそばにいれなかったよ

健太:ありがとう、早希

健太:そうだ、早希、俺、早希に伝えたいことがあったんだ

早希:・・・何?

健太:今すぐにじゃなくていい、色々落ち着いてからでいいから

健太:結婚しよう、早希

早希:うん!もちろん!

健太:ほ、本当か!!

早希:当たり前でしょ

健太:やったあああああ!!

早希:また鼻赤くなってるよ、泣いてるの?

健太:泣いてねーよ、ばぁかぁー!

早希:うっふふ!

早希:私も健太じゃないとダメだよ

早希:幸せになろ?

健太:ああ、幸せにする、約束するよ

早希:うん、健太は私の約束を絶対に守ってくれるもんね

早希:私だって約束するよ

早希:これから何があったとしても私は絶対に

早希:赤鼻の健太を忘れない

0:赤鼻の彼を忘れない

〜END〜