「芽来?どうした?」


『……。』


「芽来?」



なんだ?
どうした?
何があったんだ?



「芽来、聞こえるか?大丈夫か?」


『……とう、が…。あいたい…。』


「分かった。今から行く。
…蒼樹。回収は今の店で最後だな?」


「そう、ですが…。」


「後は明日に回す。
今から、芽来の実家へ向かってくれ。
…芽来?少し待っててくれ。
外は冷えてるから暖かくしてろよ。」


『…っ…うん…。』



電話を切って、すぐに車に乗り込む。
蒼樹は、なにも聞かずに車を走らせた。



「…泣いていた。」


「え?実家でなにかあったの?」


「…理由は分からねえが、何かあるはずなんだ。
芽来が電話を寄越すなんて…ましてや、泣いてるなんてただ事じゃない。」



何が、とは言えないが。
俺の勘で…何かが起きたか、何かが起こる前兆のような気がする。

若頭の勘、というやつだろうか。