「ただいま。」



外は日が陰ったが、まだまだ暑い。
ネクタイを外しながら玄関に入るが、中は真っ暗だ。


芽来が来てるはずだが…。
電気もつけずに、どうした?
まさか何かあったんじゃねえだろうな。



「芽来…?」



警戒しつつリビングのドアを開けると。
そこには、ソファの上ですやすや寝息を立てる芽来がいた。
クッションを腕に抱いて。


なんだ、寝てたのか。
ふっと安心して、芽来の頭を撫でる。



「…待たせすぎたな。」



ごめんな、遅くなって。
1人で寂しかったか?

そっと起こさないように、涙を拭う。
それから額にキスを落として、着替えるために寝室へ向かった。



「寝室は同じだろ…。
この部屋は、芽来の活動に使ってもらうか。」



ラフな格好に着替えて、芽来の引越しの予定を立てる。
荷物の搬入日も手配済みで、芽来のお袋さんにも連絡はいれた。