「お兄ちゃん、まじでファッションセンスどうかしてるんですよ! この前なんて、スポーツ用のTシャツにジーパン、上着は中学のジャージですよ?」
「よくそれで外歩けますよね、ほんと」
「ただいまぁ。ピザとチキン、買ってきたぞ~」
気付けばもう午後7時。叶汰も帰って来た。
「つーかお前ら、今、俺のファッションセンスがどうたらって話してただろ」
「叶汰のファッションセンスはパリコレのモデル級だって話してた」
「嘘を言うな、廊下まで会話が丸聞こえだっつーの」
「だって、お兄ちゃんのファッションセンス、まじでダサいんだもん」
「うるっせーな、着る服がねーんだよ」
「ほらほら、もう兄弟喧嘩は勘弁。ピザとチキン、食べましょ」
真っ白な病室のテーブルは、ピザとチキンにケーキ、と華やかに彩られた。
「やっばこのピザうっま」
「ちょっとお兄ちゃん食べ過ぎ」
「ほら、真結見て。めっちゃチーズ伸びる」
「お兄ちゃん行儀悪い」
この2人といると、なんだかものすごく気が和む。ついこの前までは、まさか俺がこんな楽しいクリスマスを過ごすなんて、夢にも思っていなかった。あわてんぼうなサンタクロースが、俺のところに幸せを落としていったんだろうな、なんて思っていた。