ちょうど家に帰ってきた頃。彼女から突然電話が掛かってきた。
「もしもし、陽介さんですか」
声を聞く限りでは、彼女は元気になったように思える。
「元気になったようで良かったです」
「元気です。だけどやっぱ陽介さんに会いたいです」
俺は何も言えなかった。
「お兄ちゃんが失礼なことを言ったのは知ってます。本当にすいませんでした。でも、もしたとえ、私の体調が悪くなるのが陽介さんのせいだとしても、私は陽介さんに会いたいです。話し相手がいないとやっぱり寂しいんですよ」
俺にとっても真結さんは大切な存在だった。真結さんがいないのはなんだか物足りなかった。それなのに、威張って会いに行かなかった自分がバカバカしく思えてきた。
「俺だって、ずっと心配してたし、お見舞い行きたかったし、一緒に話して笑ってる時間が、最近の一番の幸せだったんです」
彼女はふふふと笑った。
「じゃあ仲直りですね、元から喧嘩してたわけじゃないですけど」
「来週からまたお見舞い行きますね」
「元気に待ってまーす」
「じゃ、電話切りますね」
電話が切れると、俺はベッドに飛び込んだ。じっとしていられなくて足をジタバタと動かした。