彼女の病室へ行くと、発作を起こし苦しむ彼女の姿があった。その傍らには、立ち尽くす叶汰の姿もあった。
おばちゃん看護師が彼女の点滴に薬を入れると、彼女は優しい表情になった。医者たちの迅速な処置の末、彼女の状態は安定した。

「お前がやったのか」
叶汰は俺を睨みつけた。
「何のことだよ」
俺は叶汰を睨み返した。
「真結を殺そうとしたの、お前なんだろ」
「何を根拠にそんなこと言ってんだよ」
「根拠なんていくらでもあんだよ」
叶汰は俺の胸ぐらを掴んできた。
「真結は、発作が起きない程度のナトリウム水を点滴で摂取していること、お前知ってるよな? その点滴の量が変わってた。あれは誰かが意図的に変えなきゃ変わらねーんだよ」
「俺がやった根拠にはならねーだろ」
「俺が来る前、お前と真結は2人きりだっただろ!」
俺は呆れて叶汰の手を力づくで離した。
「俺は何も知らない」
俺がそう言うと叶汰は俺のことを突き飛ばして
「お前に会ってから、真結の症状はどんどん悪化してんだよ! 真結に危害を加えるなら、もう真結の前に二度と顔を出すな」
と吐き捨てるように言った。俺は何も言い返さず、ただ彼女の病室を後にした。