しかし、ふと、俺は彼女にプレゼント出来そうなものを、1つも持っていないことに気がついた。今日が真結さんの誕生日だと知ったのがついさっきだから、仕方がないことだけれど。中心の輪にいるのにも関わらず何も渡せないのは、少し羞恥心にかられた。渡せるとしたら、いつものグミだけか…
「あ、えっと俺からはこれを…」
俺は少し丁寧にスーパーのビニール袋を手渡した。
「すいません、誕生日だって知らなかったので。いつものやつなんですけど…」
俺は中途半端に伸びた坊主頭を掻いた。そんな俺を見た彼女はいつものように笑った。
「私このグミ大好きなんです! 早速いただきますね」
彼女はりんご味のグミを手に取ると、子供たちと楽しそうに食べだした。
少し気を遣わせちゃったかなって思ったけれど、グミを美味しそうに頬張る彼女の笑顔は、きっと本物であった。
「来年は今年の分までお祝いしますね」
「本当ですか! 楽しみにしています」
彼女は俺に満面の笑みを向けた。