「父との思い出です。前に、父の影響でサーフィンをやってたって言ったと思うんですけど、練習の時にいつも父が買ってくれたのが、あのゼリーだったんです」
俺はただ頷くことだけをして彼女の話を聞いた。
「父は有名なサーファーで、日本代表にも選ばれていたんです」
「に、日本代表…!?」
「サーフィンってあまり注目されていないので知らないと思いますが。暇だったら調べてみてください。広崎進太郎って。」
俺はすぐに指を動かし検索した。
スマホの画面が切り替わると、一枚の顔写真が表示された。元気な目、少し茶色い髪、サーファーの割に色白なところ。その写真は、彼女とサーフィンを結びつける、遺伝子を感じさせるものだった。
俺は、彼女の父についてもっと調べようと、画面を下にスクロールした。
「え…」
俺は息を飲んだ。
そこには、『広崎進太郎”突然死”』といったニュース記事や、『天才サーファー広崎進太郎の死因は?あの時海で何があった…』というようなサイトがずらりと並んでいた。