「うん?何の話?」
鮫島はやはりのんきすぎる。
「俺に出来た彼女の話だよ。やっぱり金目当てだったかもしれない…」
「お、ついに金請求された?そういう時はな、バシッと振ってやるのがいいんだよ」
そしてやはり鮫島は行き過ぎた話をする。
「いや請求されてはねぇけどさ、メール交換したり、来週も来てください、とか…赤の他人なのに距離縮めすぎじゃね?」
鮫島は俺の反応を見ると、軽く呆れたように溜息をついて、
「あのなぁ、お前はほんと女心をわかっちゃいない」
とニヤけながら言った。鮫島の場違いなノリに俺が呆気にとられていると、鮫島はさらに続けた。
「女子ってのはな、たとえ赤の他人だとしても彼氏には側にいて欲しいし、いつでも連絡したい生き物なんだよ」
いや違うだろ、とツッコみたくなったが、ここまで自信満々に言われてしまうと何も言えない。
「もし金目当てだったんならその時ははっきり断ればいい。つまり、お前がゾッコンにならなきゃいいって話だよ」
鮫島は俺を置いてけぼりにして話し続けた。
「ま、とりあえず何もかもお前次第ってことよ。今の俺に出来ることはねぇーよ。ってことでじゃあなー風呂呼ばれたから行ってくるわー」
結局何も解決しないまま電話は切られた。
…要するにまだ泳がせとけってことか?騙されたふりして付き合っとけってことなのか?
一晩考えた結果、俺はまだ彼女との関係を続けることにした。