「お前、それってさ、大丈夫なのか?」
鮫島もようやく、事の大変さがわかったようだ。
「絶対それ…結婚詐欺的なやつだよな…金目当てだよな…」
うーん、鮫島は少し深く考えすぎな気もする。鮫島は、天然なのか、たまに飛躍的な想像をすることがある。
「高校生くらいの人だし…金目当てとかじゃないと思うけどな」
「いや、だって、その彼女は病気なんだろ?治療費が必要だからって、金目当てで彼氏作っててもおかしくねぇよ。」
確かに、言われてみると、金目当てなら彼女の行動も辻褄が合う。
「やっぱり、断るべきなのかな…」
「うーん、でも取り敢えず付き合ってみたら?ただ単に、入院生活に彩りが欲しいだけなのかもしれないし。」
恋人ってそんな生半可な気持ちで作っていいものなのだろうか。
「何かあったらその時はその時で考えりゃいい。とりあえず、人生初の彼女、楽しんでみろよ?」
「うーん…」
「何、ひよってんのか?安心しろ、お前には、元モテモテの鮫島って男がついてるんだからさ。」
俺はその言葉に思わず吹き出した。
「元モテモテって。なんか悲しいな。」
「おいおい、痛いとこつくなよ〜一応中学の時はモテモテだったんだよ〜」
鮫島に相談事すると、必ず最後には笑ってるんだよな。
「ありがとう。とりあえず様子を見てみるよ。」
「おう。何かあったらまた電話しろよ。」