数日後。俺らが負けた相手が優勝した。
だけど、『相手は強かったんだ。負けるのは仕方がない。』なんて思えるはずがなかった。
悔しい。とにかく悔しい。
もしあそこで勝てていたら、俺らが優勝していたかもしれない。だってあんなにいい試合をしていたんだから。
そんな思いで俺の胸はいっぱいだった。
そんな中、鮫島から一件のメールが来た。
[今週の土曜日、引退式あるからお前も来いよ。]
引退式。俺はどんな面を下げて、みんなに会えばいいのだろうか。
[怪我したことは気にすんな。お前だってチームメートなんだから。みんな待ってる。]
鮫島の言葉はいつも俺を救ってくれる。本当に良い相方だ。
「母さん、俺、土曜日に引退式に行ってくる。」
母さんは少し驚いたようだった。怪我をしてから部活に行くのを嫌がった俺が、引退式に顔を出すなんて言ったらそりゃ驚くだろう。
「あら、そうなのね。それなら、土曜までにそのボッサボサの髪、どうにかしときなさい。」
母さんはテレビから目を離さずにそう言った。