雪が溶けて春が来るように。

桜が散って夏が来るように。

葉が色づいて秋が来るように。

生き物が眠りについて冬が来るように。

時間はいつだってうつり変わって止まってはくれない。

だったらわたしだけこの瞬間に留まってはいられないのかな...。



「はよー」

「おはよー!」

「お前、寝るの遅すぎー」

「だってゲームがさぁ」



朝が来て、クラスは騒がしくなる。

わたしは、理想と現実の狭間で揺れながら爪を眺める。

あの会話に入る自信はないんだよな、、、。

入れたらどんなにいいか、それが私の夢でもあったし。

そんな高校生活が送りたかったし。



「おはよ、足立さん」



うなだれるわたしの視界に入ってくる1人の男子。