――正嘉殿――
「あら。ここにいたの?」
玲雲は美凰に言われて泣く泣く帰ると、喩良妃がまるで汚らわしい物を見るかのように蔑んでいる。
「喩良妃さまにご挨拶を」
急いで涙を拭き、拝礼する。
「女狐のところに泣きつきに行ったのに、もう戻ってくるとはねえ、楊静妃?」
「ええ。ですが、浅ましい考えですわね。喩良妃さまがお持ちだった物を自分のだと言って、悪者に仕立てようとするなんて恥知らずにも程がありますわよ。言いがかりをつけられた喩良妃さまがお可哀想ですわ」
「母上の大切な形見なのですっ……!どうか、どうかっ、返してくださいっ……!お願いしますっ!」
喩良妃の服の裾に縋りつき、必死に嘆願する。
「見苦しいわね。離しなさいっ!」
喩良妃が不快そうに縋りついている玲雲を振り払う。
「燕王殿下のおなり」
喩良妃と楊静妃が立ち去ろうとした時、殿下が現れた。
「殿下に拝謁いたします」
先ほどまで不機嫌だった喩良妃はこぼれんばかりの胸を見せつけながら笑顔で万福礼をする。楊静妃も同様に、喩良妃の一歩後ろで万福礼をしている。
「元気そうだね、海儸」
「殿下にお会いするのが私の幸せですもの。元気であって当然ですわ」
殿下に話しかけられた喩良妃は嬉しそうにはしゃいでいる。
「あら。ここにいたの?」
玲雲は美凰に言われて泣く泣く帰ると、喩良妃がまるで汚らわしい物を見るかのように蔑んでいる。
「喩良妃さまにご挨拶を」
急いで涙を拭き、拝礼する。
「女狐のところに泣きつきに行ったのに、もう戻ってくるとはねえ、楊静妃?」
「ええ。ですが、浅ましい考えですわね。喩良妃さまがお持ちだった物を自分のだと言って、悪者に仕立てようとするなんて恥知らずにも程がありますわよ。言いがかりをつけられた喩良妃さまがお可哀想ですわ」
「母上の大切な形見なのですっ……!どうか、どうかっ、返してくださいっ……!お願いしますっ!」
喩良妃の服の裾に縋りつき、必死に嘆願する。
「見苦しいわね。離しなさいっ!」
喩良妃が不快そうに縋りついている玲雲を振り払う。
「燕王殿下のおなり」
喩良妃と楊静妃が立ち去ろうとした時、殿下が現れた。
「殿下に拝謁いたします」
先ほどまで不機嫌だった喩良妃はこぼれんばかりの胸を見せつけながら笑顔で万福礼をする。楊静妃も同様に、喩良妃の一歩後ろで万福礼をしている。
「元気そうだね、海儸」
「殿下にお会いするのが私の幸せですもの。元気であって当然ですわ」
殿下に話しかけられた喩良妃は嬉しそうにはしゃいでいる。
