(まつりごと)が行われたり天子が政務をとる場を外朝(がいちょう)后妃侍妾(ごうひじしょう)が暮らす場を内朝(ないちょう)という。内朝はいわば後宮である。今、燕王の妻妾たちは碽貴妃のご機嫌伺いのために、後宮にある永安宮に訪れている。

「義母上、盈容公主に拝謁いたします」
「碽貴妃さま、盈容公主さまに拝謁いたします」

「楽になさい」

「感謝いたします」

「今日は義母上のために、皆で手料理を持ってきましたの。ぜひ、召し上がってください」

王妃は侍女が持っている三段重ねの食盒(じゅうばこ)を開ける。他の妃たちも同様に、用意した食盒を開けて料理を取り出す。

「美味しそうね。これは?」

紅焼海参(ホンシャオハイサン)ですわ。今日はとても暑いので、さっぱりとした味付けが良いと思いました。いかがでしょう?」

「うん、とても美味しいわ。上品な味付けで、舌触りも良いわ」

「お褒めいただき光栄です」

王妃が次の料理を取り出すまで時間がかかるため、その間に喩良妃が碽貴妃に出して褒美を下賜される。

美凰も碽貴妃のために(スープ)を出す。

「碽貴妃さま、佛跳墻(ファッチュウジャン)を用意しました。どうぞ、お召し上がりください」

「佛跳墻ですって?こんなに暑いというのに、こってりとした羹を持ってくるなんて気が利かないわね。そんなもの食べたくないわ」

「申し訳ございません……」

碽貴妃から下げなさい、と命じられていないため、羹を入れた(わん)を差し出した状態のままでいなければならない。

碗はとても熱く、火傷をしそうである。