後宮鳳凰伝 愛が行きつくその先に

「謙遜しなくても良いでしょう。あなたほどの知識がある人はきっといないわ」

優しく慈愛に満ちた表情で、王妃は皆を見る。

「今日は夏慶妃が嫁いでくる日よ。これで、妃全員がそろうわね。明日から碽貴妃さまのところへ挨拶しに行くわ。各自、碽貴妃さまにお出しする料理を持参しなさい。今日の朝礼はこれにて解散よ」

王妃が立ち上がった瞬間、いっせいに万福礼をする。

「お見送りいたします、王妃さま」





「ちゃんと喩良妃と楊静妃を茶会に誘った?」

靇月は朝礼が終わった後、喩良妃と楊静妃の二人を茶会に誘った。

「はい、つつがなく。お二方とも外でお待たせしております」

「呼んできてちょうだい」

「かしこまりました」

しばらくして、喩良妃と楊静妃が入ってくる。

「王妃さま、お呼びしていただき光栄ですわ」

「今日は二人とも嫌な思いをさせてしまったわね。その埋め合わせにとお菓子を用意させたの」

「確かに嫌な思いをしましたが、王妃さまのせいではございません。徐静妃のせいですわ。殿下の初めての夜伽に指名されたからって、調子に乗り過ぎです!王妃さまより質の良い下賜品を頂くなんて!」

「喩良妃さま、言い過ぎですよ……殿下に聞かれたらどうなさるのです……?殿下は徐静妃を王妃にしようとしたほどだったのですよ?」

「容姿は平凡のくせに……。殿下にとってそんなに魅力的なの?忌々しい女め!」

憤然として言う喩良妃に、王妃と楊静妃は苦笑いするしかなかった。