――翌朝――
王府には色々な規則がある。そのうちの一つが、毎朝行われる朝拝である。
妾である側妃たちは毎朝、長紀殿におもむいて王妃に拝謁しなければならない。その後は、王妃が側妃たちを引き連れ、義母となる碽貴妃に拝謁しに行くのだ。
「王妃さまのおなり」
王妃付きの首席宦官である肖内監が宣言すると、長紀殿の正庁に集まった側妃がいっせいに万福礼をする。
「楽にしてちょうだい」
「感謝いたします、王妃さま」
ゆっくりと侍女に手を引かれ、上座に腰掛けた王妃は皆に座るように言う。
「今日はあまり良い天気ではないわね、妹妹たち。気分が滅入ってしまわないように、皆へ贈り物を渡すわ」
「これは……?」
「先日、殿下から頂いた西湖雨前龍井の茶葉よ。お茶なら室内でも楽しめるから良いと思ったの。気に入ったかしら、喩良妃?」
興味津々にのぞき込んでいた喩良妃に、王妃は穏和な表情で尋ねる。
「ええ、もちろんですわ。このような高級品を頂けるなんて光栄だわ。そうよね、楊静妃?」
「ええ。王妃さまが殿下から賜ったものを私たちにまで分けてくださるなんて、王妃さまはとても慈悲深い御方ですわ。ね、徐静妃?」
美凰の方に話を振ろうとした楊静妃が、大げさなまでに口を押さえて思い出したというような顔をして、しおらしい姿で尋ねてくる。
「あら、そういえば徐静妃はお茶がとてもお好きだと聞いたけれど……王妃さまから頂ける茶葉は気に入らなかったのかしら……?」
王府には色々な規則がある。そのうちの一つが、毎朝行われる朝拝である。
妾である側妃たちは毎朝、長紀殿におもむいて王妃に拝謁しなければならない。その後は、王妃が側妃たちを引き連れ、義母となる碽貴妃に拝謁しに行くのだ。
「王妃さまのおなり」
王妃付きの首席宦官である肖内監が宣言すると、長紀殿の正庁に集まった側妃がいっせいに万福礼をする。
「楽にしてちょうだい」
「感謝いたします、王妃さま」
ゆっくりと侍女に手を引かれ、上座に腰掛けた王妃は皆に座るように言う。
「今日はあまり良い天気ではないわね、妹妹たち。気分が滅入ってしまわないように、皆へ贈り物を渡すわ」
「これは……?」
「先日、殿下から頂いた西湖雨前龍井の茶葉よ。お茶なら室内でも楽しめるから良いと思ったの。気に入ったかしら、喩良妃?」
興味津々にのぞき込んでいた喩良妃に、王妃は穏和な表情で尋ねる。
「ええ、もちろんですわ。このような高級品を頂けるなんて光栄だわ。そうよね、楊静妃?」
「ええ。王妃さまが殿下から賜ったものを私たちにまで分けてくださるなんて、王妃さまはとても慈悲深い御方ですわ。ね、徐静妃?」
美凰の方に話を振ろうとした楊静妃が、大げさなまでに口を押さえて思い出したというような顔をして、しおらしい姿で尋ねてくる。
「あら、そういえば徐静妃はお茶がとてもお好きだと聞いたけれど……王妃さまから頂ける茶葉は気に入らなかったのかしら……?」
