赤ちゃんはお腹の中で順調に大きくなり、もうすぐ4ヶ月目に入る。

4Dエコーの赤ちゃんは、もう身体から手足までしっかりと見えていて、とにかくかわいくてしょうがない。

生まれてくるのが今からとても楽しみだ。


朝はいつもベッドから起き上がる前に斗真さんとくっつきながらゴロゴロしているけど、今日彼はいつも通り仕事がある。

私は仕事が休みのため、離れてしまうのは少し寂しい。

「瑞穂、無理するなよ?家事はいいから休んでろ。夕食もいいから」

準備をした斗真さんを玄関まで見送ると、斗真さんは靴を履きながら言う。

「大丈夫ですよ。今はつわりもほとんどないし、大袈裟です」

「俺が大丈夫じゃないんだよ。瑞穂のことが心配で仕事が手につかなくなる」

眉を寄せて拗ねた声を出す斗真さんに、嬉しくも照れくさい気持ちになる。

「じゃあ、できる範囲でします…」

視線を泳がせながら答えると、クスリと笑う声が降ってきて、顎を持ち上げられる。

「斗真さ――」

言うより先に唇が塞がれた。

やさしいキスのあと、啄むようにもう一度唇に触れ、斗真さんは「行ってくる」と玄関を出た。

こんなに幸せでいいんだろうか。

斗真さんから逃げようとしていたのがあの日が嘘みたいだ。

まだぺたんこのお腹に、そっと手をあてる。

この子が私と斗真さんを結びつけてくれたんだな。

いや、幸斗さんのおかげでもある。

しばらく会社でも湿布を貼っていたと聞いたけど、きっと社内ではいろんな憶測が飛んだに違いない。

次に会った時はちゃんとお礼をしよう。