僕にとっては当たり前だけれど、芙羽梨はそうじゃない。



少なからず、不満を持っていても何らおかしくないはず。



なのに、芙羽梨は一瞬ぽかんとしてから顔をほころばせた。



「詩音先輩とのデートも、絶対楽しいと思いますけど…。私は、詩音先輩とのパーティーも同じくらい楽しみですよ…?詩音先輩の正装姿を見るのも、すごく楽しみです」



「っ…」



芙羽梨のその言葉で、僕がどれほど救われるか。



変わり映えしないと思っていた恒例行事が、芙羽梨がいて、楽しんでくれると思うだけでこんなにも嬉しくなる。