「ねぇ。酔っぱらってる?大丈夫?」
名前の知らない男性が心配そうに覗き込む。
(この声知ってる。大好きな動画配信者のNAGIさんだ。)
「うーーん、ちょっとだけね~。」
(推しのNAGIさんとお話してるなんてなんて最高な夢なの!)
すっかり夢の中だと思っている千夏は会社の親睦会ですっかり飲み過ぎていた。過去最大量のアルコールを体に入れたと思われる。
『市島さん、大丈夫ですか?タクシー呼びましょうか?』
足元がおぼつかない千夏をみて後輩の女の子にそう言われたが、お酒で赤く染まった頬を撫でる夜風が心地よくて歩きたい気分だった。
『大丈夫!ここから駅近いから歩いていくわ。』
そう言って二次会に向かう同僚や後輩たちと別れたが、どこから見ても千鳥足な千夏はナンパ男たちの恰好の的だった。
『お姉さん、だいぶ酔っぱらってるみたいだね~。俺たちが介抱してあげるよ。』
ナンパ男たちは数人で千夏を取り囲んで近くのホテルへと連れこもうとしていた。
『あんた達に介抱されなくったって大丈夫よ!』
千夏はさらりとナンパを交わしたつもりだが、男たち数人では力では当然かなわない。一人の男が千夏の腕を掴むと肩を引き寄せ抱きついてきた。
『そんな歩き方じゃ危ないから、向こうで少し休憩していこうよ。』
ニヤついた男の顔がとても不快だった。
『ちょっと!放しなさいってば!』
男の腕を振り払おうとするが、がっしりと肩を掴んだ手はなかなか離れてくれない。男性数人に囲まれた女性が町中に居ても皆見てみぬふりをして通り過ぎている。居酒屋やBarが立ち並ぶこのエリアでは日常茶飯事の光景であった。
(えっ…、これはちょっとヤバいかも…。)
千夏にもやっと危機感が芽生えたころだった。
『おい、やっと見つけた。』
(…ん?だれ?)
ぼんやり声のする方を見つめる。長めの前髪と黒縁メガネに隠された顔をどこかで見たことがあるような気もしたが、直ぐに思いつく顔ではなかった。
『なんだ、男連れかよ…』
そう言って声を掛けてきた男性をみるなりナンパ男たちはどこかへと消えていった。
名前の知らない男性が心配そうに覗き込む。
(この声知ってる。大好きな動画配信者のNAGIさんだ。)
「うーーん、ちょっとだけね~。」
(推しのNAGIさんとお話してるなんてなんて最高な夢なの!)
すっかり夢の中だと思っている千夏は会社の親睦会ですっかり飲み過ぎていた。過去最大量のアルコールを体に入れたと思われる。
『市島さん、大丈夫ですか?タクシー呼びましょうか?』
足元がおぼつかない千夏をみて後輩の女の子にそう言われたが、お酒で赤く染まった頬を撫でる夜風が心地よくて歩きたい気分だった。
『大丈夫!ここから駅近いから歩いていくわ。』
そう言って二次会に向かう同僚や後輩たちと別れたが、どこから見ても千鳥足な千夏はナンパ男たちの恰好の的だった。
『お姉さん、だいぶ酔っぱらってるみたいだね~。俺たちが介抱してあげるよ。』
ナンパ男たちは数人で千夏を取り囲んで近くのホテルへと連れこもうとしていた。
『あんた達に介抱されなくったって大丈夫よ!』
千夏はさらりとナンパを交わしたつもりだが、男たち数人では力では当然かなわない。一人の男が千夏の腕を掴むと肩を引き寄せ抱きついてきた。
『そんな歩き方じゃ危ないから、向こうで少し休憩していこうよ。』
ニヤついた男の顔がとても不快だった。
『ちょっと!放しなさいってば!』
男の腕を振り払おうとするが、がっしりと肩を掴んだ手はなかなか離れてくれない。男性数人に囲まれた女性が町中に居ても皆見てみぬふりをして通り過ぎている。居酒屋やBarが立ち並ぶこのエリアでは日常茶飯事の光景であった。
(えっ…、これはちょっとヤバいかも…。)
千夏にもやっと危機感が芽生えたころだった。
『おい、やっと見つけた。』
(…ん?だれ?)
ぼんやり声のする方を見つめる。長めの前髪と黒縁メガネに隠された顔をどこかで見たことがあるような気もしたが、直ぐに思いつく顔ではなかった。
『なんだ、男連れかよ…』
そう言って声を掛けてきた男性をみるなりナンパ男たちはどこかへと消えていった。