ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~

「いってぇ、いきなり何をするんだ!」

賢はおしりを撫でながら立ち上がる。

「こちらの台詞です。嫌がる人に何をなさっているんです?!」

「なんだ……間宮さんじゃないですか……」

賢は忌々しそうにした。

「転びそうだった彼女を支えただけですよ。いいんですか、弁護士さんが理由も聞かずにこんな乱暴なことをして」

「文、そうなのか?」

七生に聞かれ、埋めていた顔をあげた。
違う。そんなの、口実だ。

「ちが、お、おし、お……」

お尻を撫でられた。
たったそれだけを伝えることが出来なくて、喋ろうとすると涙が増える。

「わかったよ。もう大丈夫だ」

七生は文を安心させるため、一度腕に力を込める。それから賢を見た。

「理由など、彼女を見れば一目瞭然です。助けたという大義名分はあっても、そこから先は過剰な接触でした。そもそも、あなたが迫らなければ体勢を崩すこともなかったでしょう。逃げようとして焦った結果ですから」

「見てもいないくせに分かった口を……!」

賢はカッとなった。

「あんただって彼女に必要以上に触れているじゃないか!」

「文はわたしの婚約者です。なんの問題が?」

言い合いの最中も、七生は文の背中を撫で続けた。
熱をもった手のひらが、じわりじわりと気持ちをほぐしてゆく。

「ーーーーはぁ?」

賢は、はっと乾いた空気を吐いた。