ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~

「研究室は、自分のことは二の次でいいんです。専門知識は必要ですけど、研究対象のみに注力ですから。泊まり込みをしたり、過酷なこともあるんですよ。
でも、べつにすっぴんでパジャマで仕事していても誰に指摘されることもないっていうか……三宅さんは、いつも完璧でほんと凄いです。どうしたらそんなに出来るんですか」

「……完璧ねぇ。わたしだって、なりたての時はたくさん失敗をしたの。社長につかせてもらって死に物狂いで勉強した。
吾妻副社長が帰国して、海外仕込みの仕事のやり方はとても話題になった。ずっとあの人の秘書をやってみたいって思っていたの。それを間近で学べる機会がやっと来たとと思ったら、まさかの素人採用。ほんと悔しかったわ」

ーーーーそうだ。
『三宅さんが務めるはずだったのに』って何度も陰口を叩かれた。

仕事で見返してやれば良かったけれど、なかなかそんな風に出来なかった。

「でも、最近なんであなたが採用されたかわかった気がする。吾妻副社長には、わたしに無いものを持っているから、それがわかるといいなって言われていたの。
わからない限りお前は使えないって」

「えっ……」

なんでそんな事を言うのか。
文と三宅では誰がどう見ても三宅の方が優秀ではないか。

「……理由として、製品への愛があるような事を言われましたけど、自社製品に愛着をもつのは当たり前ですよね?」

開発者として他の人より愛着はあるかもしれないが、ただそれだけだ。

「わたしは、いつの間にかね、製品を愛していたんじゃなくて、その製品を纏った自分が好きなだけになってたの」