「うわ、旭川、ちょっと綺麗すぎる。馬子にも衣装って揶揄ってやろうかと思ってたのに、素材良すぎじゃない? どうして普段からその色気ださないの。もったいない」

パーティー当日、着飾った文に吾妻は失礼な第一声を送った。

「副社長、いつもに増して正直過ぎます」

ビジネスを交えた創立記念パーティーではあるが、大山商事は派手好きらしい。ドレスコードはフォーマルを指定しており、少し華やかなスーツというわけにはいかなかった。

文はシフォンのマキシドレスだ。
ラベンダー色にビジューがたくさん使われきらきらと輝く。ロングドレスだから足は隠れるものの、背中がレースになっているし、肩が出ていて恥ずかしい。

ドレスは吾妻が選び、秘書としてつく三宅が化粧や髪のセットまでやってくれてた。
髪はゆるく巻き、ひとつにまとめてくれている。髪飾りやアクセサリーも準備されていて至れり尽くせりだ。

「肌を見せすぎじゃないでしょうか」

七生が不機嫌に言った。

「イブニングドレスなんてこんなもんだろ。寧ろ露出を抑えた方だよ」

吾妻が答える。

スーツは勝手に決めてきてって感じだったのに、今回のドレスを七生に任せなかったのはなぜだろう。

やっぱり同伴の役割ともなると、自分好みにしたくなるものだろうか。