ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~

「本当に、なんでわたしみたいなのを……」

気持はもちろん嬉しい。
仕事への情熱は尊敬できるし、プライベートでも一面を知ることができ、人間的な側面でも好きになれた。

真剣に聞いたのに、七生は「さぁ?」と軽く返す。

「ちょっとタイプで、面白い子だなって思って、性格もいいなって知って、次第に欲しくなった。そういうのが、普通じゃない? 特別な理由なんかなくても、人は人を好きになるものだよ。まあ、放火魔の女に火傷に関しての化粧品の効能をとくと話す文は劇的だったけれど」

褒めているのか貶しているのか。

「吊り橋効果だったのは、七生さんなんじゃないですか?」

事件の刺激で、たまたまその場にいた文を魅力的に捉えたのかもしれない。
文は口を曲げた。

「そうかもね。でも、きっかけにすぎないよ。今は本気で愛してる」

文は困ってため息をついた。

「告白攻めはずるいです」

「ーーーーそうだな。ごめん。俺は、自分の欲だけで嘘をついた」

「っべ、弁護士なのに、人を騙すとかっ」

「そうだな。最低だ」

「わたしが、どれだけ悩んだと……」

恨み言は、どれも本気ではなかった。

「悪かった、でも、どうしても文が欲しい」

背中から抱きしめる腕がきつくなった。

「これから先、文が俺と添い遂げてくれるならば、もう二度と嘘はつかない。一生、誠実を誓う」

(ずるいなあ)

なんとか口説き落とそうと根気強いのは、職業病だ。
こんなことを言われたら、許してしまう。