妄想ラプソディー

*** 「 幼なじみと」 ***


頬杖をつき、窓の外を眺めていた。
クリスマスカラーに染まる街は人で溢れかえっている。
「あー…。カップルって単語を口にするのもイヤになる」
冷めかけのレモンティーをひとくち飲み、大きく息を吐いた。

「俺らだってカップルに見えるかもよ?」
「ない、ない。あんたと私じゃ、なんか違うでしょ」
お互い過ごす相手が見つからず、一緒にいるだけ。
プレゼント交換もしない。ふたりでごはんを食べただけ。それだけ。

向かいに座る幼なじみは「ふぅん」とだけ言うと、とつぜん私の髪をひと撫でした。
「なにすんの」
「なに、って。それっぽいこと」
「やめてよ」
「いいじゃん」
「よくない!」

「だって俺、サンタにお願いしたんだよ」
「はっ?サンタ?あははっ。一体なにをお願いしたの?」

「おまえが欲しい、って」

「……えっ?」

「だから、思いっきり俺のこと意識しろよ。
 で。俺のこと、好きになれ」




《完》