雑音が響く中、響歌が舞を突いた。

「ほら、いいからやってみなさいよ」

 響歌は楽しそうだが、舞の方はあまり気が進まない。いや、それどころかとても嫌だった。

「えっー、もう終わったことなのにー。響ちゃんさぁ、他人事だと思って、実は楽しんでいるでしょ?」

 舞は口に出しても嫌がっているが、響歌も譲らなかった。

「そんなことないって。でも、こんなところでこんなに面白そうなものを発見したんだもの。誰かがしてみないとダメでしょ」

 響歌は面白いと言ったが、舞からしたらまったく面白くないものだった。

 自分がやるのに限る!だけれど。

「じゃあさ、響ちゃんがやってよ。私なんかよりも事態は深刻になっているんだから。響ちゃんがやらなくて、いったい誰がこれをやるの。さっちゃん達を呼んでこれをさせるという手もあるけど、ここはやっぱり響ちゃんが一番適任だよ。うん、決まりだね。さぁ、さぁ、響ちゃん。早くやってみよう!」

 いつの間にか立場が逆転してしまった。

「ちょ、ちょっと、私は自分がやりたくないからムッチーに勧めているのに。ムッチーが私に勧めてどうするのよ」

 勝手な言い分である。

「響ちゃんだって、自分がやりたくないから私に勧めたんじゃないの。私だって人がやるには大歓迎だけど、自分がするのは嫌なの。なんで今更あの人との相性を占わないといけないのさ。そもそもこれを今しないといけないのは響ちゃんの方でしょ。さっちゃん達だって同じ意見のはずだよ。そもそもこんなのはどうせ遊びなんだから、軽い気持ちでやってみようよ!」

 舞は響歌の背を押した。そのままゲーム機に向かっていく。

 だが、寸前のところで止まってしまった。

 ここは大型ショッピングセンターの最上階にあるゲームセンターの中だ。

 舞は今日、ここにいる響歌、そして紗智達、お馴染みのメンバーと共に遊んでいた。もうすぐ1学期の中間テストが始まるので、その前の息抜きとしてみんなと遊ぶことになったのだ。

 朝から宮内市内でカラオケをしたり、ショッピングをしたりしていたのだが、そのショッピングの最中に一旦解散。みんなそれぞれ趣味やセンスが違うので、そうなると見たい場所も違ってくる。一旦別れた方が効率がいいだろうということでそうなったのだ。

 最初は1人で雑貨などを見てまわっていたが、本屋に入った時に響歌と遭遇。その時、響歌にゲームセンターに誘われて行くことにした。

 ここに来た当初は和やかに対戦型ゲームなどをして楽しんでいたのだが、占いコーナーにある占い機を見つけた途端、こういった争いになってしまった。

 2人の争いの原因となっているゲーム機は、今も2人が争う前でどっしりと鎮座している。

 これは見るからに他の占い機とは違っていた。外からは何も見えないように暗幕がしてあり、異様な雰囲気を醸し出している。値段も百円や二百円という中で五百円という、ただのゲーム機にしては高額だ。

 ただの遊びとはいえ、やるには少し勇気がいる。

 だが、異様さを醸し出しているというゲーム機はやはり興味が出てくるもの。だからお互い、自分の友人にさせようとしたのだ。

 舞も響歌にさせようと必死だったが、響歌も同じだ。これでは永遠に終わらない。

「仕方がないから、お互いにしてみようか。私もするから、ムッチーもする。2人でやれば怖くない。これでどう?」

 響歌が仕方なく提案すると、舞もそんな感じで承諾した。

「それで手を打つよ。でも、響ちゃん。響ちゃんは1回だけで終わらないでね。2回挑戦してよ」

「なんで私だけ2回もしなくちゃいけないのよ」

 響歌は文句を言ったが、舞もこれだけは譲れない。

「当たり前でしょ。響ちゃんは橋本君だけが好きだと思い込んでいるけど、ついこの間までは黒崎君のことも好きだったんだから。無理に1人に絞らなくてもいいよ。私が許す!」

「許すって…」

「いい機会だから言わせてもらうけど、響ちゃんって黒崎君のことを無理矢理諦めたでしょ」

 舞が指摘すると、響歌は動揺した。

「な、何をバカなことを言っているのよ。そんなことないってば」

 否定こそしたが、その声は弱々しかった。

「否定しなくてもわかるってば。まぁ、1人に絞ったのは偉いと思うけどさ。今の状況なら、無理して橋本君にしなくてもいいじゃない。黒崎君に戻ってもいいと思うよ。だってさぁ、最近の橋本君の態度って、失礼過ぎるでしょ。あれじゃあ、百年の恋も興冷めだわ。響ちゃんはそう思わないの?」

 舞は最近の橋本の態度に苛立っていた。

 中葉との別れがスムーズにいっていないので響歌と橋本のことは忘れがちだったが、橋本の態度も時を同じくして変になっていた。

 舞や響歌に話しかけない。それどころか避けているようだ。

 いや、避けているよりかは、怒りを見せつけているといった方が正しい。

「響ちゃんさぁ、まだ橋本君のことが好きなの?」

「…好きだよ」

「よくよく考えた方がいいよ。だって橋本君ってば、響ちゃんが話しかけても『なんだよっ!』って怒鳴りつけるような返事しかしないでしょ。私達と玄関で一緒になった時だって、私達を無視するどころか、まるで見せつけるように靴箱の扉を凄い音を立てて閉めるしさぁ。その後、外を出た時だって、なんの言葉も無く凄いスピードで漕いでいっちゃうじゃない。それだって私達に見せつけるように、だよ。響ちゃんがあんたに何をしたっていうのよ!」

 舞は凄く怒っていた。

「それに響ちゃんって、橋本君と面と向かって話すこともできないから、また橋本君に手紙を書いたでしょ。でも、あれから1週間が経つのに、橋本君から返事もこない。電話にも出ない。メッセージも返さない。その割には怒りを見せつけるようにしているしさ。まったくもう、何に怒っているのかは知らないけど、言いたいことがあるのならちゃんと面と向かって言って欲しいよね!」

 最近の橋本は響歌に対して怒っているような感じだった。

 だが、響歌の方はまったく身に覚えが無い。本当にいきなり橋本の態度が変わったのだ。

 橋本はこれまでも響歌達に近づいたり遠のいたりしていたし、態度もコロコロ変わっていたのだが、今回はこれらのものとはなんだか違う。このまま響歌達に話しかけることは無いだろうと思わせるような雰囲気を醸し出していた。

 相手がこんな態度なら、響歌の方から何をしようとも無駄だ。現に響歌は橋本に話しかけたり、電話やメッセージも送ってはいるが、無視されていた。

 舞が黒崎の方を勧めるのも当然のことだ。

 黒崎は響歌に対して態度がコロコロ変わったりはしない。もし仮に響歌が黒崎の気分を害するようなことをしても、黒崎はそのことを響歌に言ってくれるだろう。しかも今は加藤と別れてフリーの状態だ。相変わらず誰が本命なのかわからないくらい、色々な女子と仲良くしているけれど。

 それでも舞から見て、黒崎は響歌の相手にピッタリだった。

 これは2年になって同じクラスになったことで気づいたことなのだが、なんとなく2人の空気が似ているのだ。

 性格だって似ている。黒崎は色々な女子と仲良く話しているが、それを言うなら響歌の方だってそう見られがちだ。クラスの中で目立ってもいる。皆の前で面白いことも言ったりしている。だからおちゃらけ者に見られることもあるが、冷静な時は凄く冷静で、適格なアドバイスもしている。これは黒崎や響歌、片方だけに言えることではない。両人共、そうなのだ。

 しかも2人共、デザイン関係に興味があるところも、考えてみればそっくりではないか。

 是非、一度はつき合って欲しい!

 舞は橋本の方を押していたはずなのに、いつの間にかそんな風に思うようになっていた。

 そこにきて橋本の急変だ。これはもう黒崎を押すしかないではないか!

「ま、橋本君は気分屋さんだから、つき合っても苦労するっていうことよ。それがわかっただけでも良かったじゃない。つき合う前にわかって本当に良かったね。これで安心して黒崎君に乗り換えられるよ」

 舞は勝手に話を進めていた。

「誰が、黒崎君に乗り換えるって言ったのよ。私はまだ橋本君が好きなんだから。そりゃ、本音を言えば、黒崎君も捨て難いと思うけど、こんなにコロコロ代えていたらダメでしょ。私はもう黒崎君を諦めたんだから」

「なんで響ちゃんはそんなに頭が固いのよ。響ちゃんと橋本君は結婚しているわけじゃないし、それどころかつき合ってもいないじゃない。響ちゃんは今フリーの状態なの。それなのに無理して1人に絞ろうとするなんてさぁ。ほら、急がば回れとも言うでしょ。もし橋本君の方にして、本当は黒崎君の方が上手く行くことを後で知ったら、響ちゃんはどう感じると思う?私はきっと後悔すると思うんだけどなぁ」

「…わかったわよ。2人分すればいいんでしょ」

 舞のしつこさに、響歌は観念した。

「その通りだよ。占いを2人分するくらい、なんてことないって。さ、遊びだと思って気楽にいこう!」

 舞が顔を輝かせて勧めたけど、響歌の足は動かなかった。

「ちょっと、待って。私はちゃんと2人分するから、まずはムッチーからしてよ」

「この期に及んで時間稼ぎをするつもりなのね。ま、いいけど。私は嫌なことは早く済ませたいもの。先にしてしまって、響ちゃんの占いを楽しく見物させてもらうわ」

 早く響歌の結果が知りたかったが、その前に自分の方を済ませた方が絶対にいい。

 舞はそう判断すると、意気揚々と占いボックスの中に消えていった。



「へぇ、45%だなんて素敵な相性じゃない。これって高いのかしら。いや、やっぱり低い数字だよねぇ」

 舞の手にあるのは自分と中葉の相性占いの結果だ。それを響歌は横から覗き込んでいた。

 色々なことが書いてあるが、やはり目につくのはでかでかと大きく書かれた45%という数字だ。

 はっきりいってかなり曖昧な数字である。半分より少し下回っているだけだ。頑張ればなんとかなるといったところだろうか。

 占い結果を手にしている舞はとても複雑だった。

「所詮、私は頑張れなかったのよ」

 それだけ口にした。

 舞としては45%よりも占いの内容が気になっていた。何しろそれには、相手との別れ話が持ち上がった時に長くもつれるかもしれないと書いてあったのだから。

 不吉な予感が頭をよぎる。

 いや、いや、これは遊びなのよ。遊び。中葉君とはもつれることなく終わったんだから!

 舞は嫌な予感を吹き飛ばすかのように頭を横に振った。そうした後、響歌を促す。

「さ、次は響ちゃんの番だよ。私はきちんとしてきたんだから、響ちゃんもちゃーんとしてくるように!」

 今度は響歌も、渋々ながらも舞の言葉に素直に従った。

「わかったわよ。ムッチーもしたんだし、私もしてくるわ。もちろん2人分よ」

 そう言い残すと、今度は響歌が占いボックスの中へと消えていった。



 舞はこの結果を見て驚いた。

「すごーい、響ちゃん。橋本君と88%だなんて。ということは…やっぱり響ちゃんの相手は橋本君の方がいいのかしらね?」

 あんな人物とここまで相性が高いなんて。なんだか複雑な気分だわ。

 自分の傍にいる響歌もそんな顔をしていた。遊びとはいえ、やっぱり気になるのかもしれない。

「で、もう1人の方は?」

 舞が響歌の方に手を差し出した。見せろ、というポーズだ。

 響歌は黙って2枚目の方を舞に渡した。

 それを目にして、舞は絶叫した。

「えっー!」

 一瞬見間違いかと思った。

 よくよく、穴の空く程、結果を見つめてみる。

 だが、書いてある数字は同じだった。

 舞の驚きが、次第に興奮へと変わる。興奮のあまり響歌を揺さぶってしまう。

「響ちゃん、凄いよ。凄過ぎる。黒崎君との相性って、これまた高過ぎだよ。何よ、この数字。92%だなんて、私の倍あるじゃない。橋本君も高かったけど、まさかそれ以上だなんて!」

 響歌と黒崎の相性結果は92%だった。

 舞が驚き、興奮するのも無理はない。

 響歌が複雑だったのは橋本との占い結果が原因ではない。これだった。

 だが、舞にとってはこの上なく良い結果だった。

「ほら、やっぱり黒崎君の方がいいんだよ。私の思った通り!」

「あのねぇ」

 響歌は呆れていたが、舞は浮かれまくっていた。

「響ちゃんもさぁ、今は橋本君の方が好きなんだろうけど、やっぱり考え直した方がいいって。悩み事は増えるけど、私も相談には乗るから」

 呆れる響歌を必死で説得する。

 その時、彼女達の背後から聴き覚えのある女性の声がした。

「あっー、やっぱりこんなところにいたー!」

 かなりの騒音の中だというのに、その女性の声ははっきり聞こえるくらい大きかった。

 まさか、時間が過ぎていた?

 まずは舞が、恐る恐る振り返った。

「さ、さっちゃん。もしかして…集合時間になってた?」

 振り向いた先には、やはり紗智の姿があった。その後ろには、歩と真子の姿もある。

 時間は確認していないが、やはり遅れてしまったのだ。

 響歌も、恐る恐る振り返った。

「ごめん、みんな。つい遊びに夢中になっていて」

 振り向くなり皆に謝る。

 舞と響歌は占いに夢中になり、みんなとの集合時間をすっかり忘れていたのだ。

 今の時間は午後4時半。みんなとの待ち合わせの時間は午後4時だったので30分も待たせていたということになる。

 紗智は見るからに怒っていた。

「2人共、ちゃんと集合時間は守ってよね。それに響ちゃんはスマホの確認もしておいて。スマホが壊れたままのムッチーは仕方がないにしても、響ちゃんはポケットに入れていたはずでしょ。こんな大音量の中にいれば着信音に気づかないんだろうけど、それはここに来た時からわかるはずで…」

「ごめん、だからごめんってば。気づかなくてすみません。探しに来させてごめんなさい」

 響歌は素直に謝った。紗智にどんなに言われても、これはもう気づかなかった自分が悪い。隣では舞もシュンとしている。

「もう、いいよ。すんなりここに来られたから。響ちゃんのスマホが通じないから、着信音がわからないところにいるのだろうと思ってここに来たんだ。正解だったね」

 真子はそう言って、笑った。

 紗智の隣にいるからか、2人にはその笑顔が天使の笑みのように見えてしまった。

 紗智の方も、真子の笑顔を見て怒る気が失せたよう。

「まぁ、いいけど。でも、本当に今度から気をつけてね」

『はーい』

 舞と響歌は素直に返事をした。

「ところで集合時間まで忘れていったい何をしていたの。2人共、何か手に持っているけど」

 歩の目が爛々と光り輝いている。占いコーナーの前に2人がいる。しかも手に何か持っているということで何かに気づいたようだ。

 さすがは歩ちゃん、鋭い指摘だわ。口には出していないけど、私達が占いをしていたことに気づいたのよ。

 舞は歩をまたもや尊敬した。

 そんな舞の隣では、響歌が気まずそうにしている。彼女も歩が何を言いたいのかがわかったのだ。だが、響歌にとってはあまり知られたくないことだった。歩が気づかなければ黙っていただろう。

 それでも気づかれた以上、話さなくてはいけない。

「歩ちゃんが想像している通りで、ゲームの占い結果よ」

 歩の目がより一層輝いた。

「やっぱり。そうじゃないかと思っていたんだ。もちろん恋愛占いでしょ」

 歩の顔はとても嬉しそうだった。見ていると何故だか響歌まで嬉しくなってしまう。

 それでも今は嬉しがるような状況ではないのだけど。

「本当に恋愛占いをしていたの。響ちゃんはともかく、ムッチーまで?」

 真子は不思議そうだった。彼氏と別れたばかりの舞が恋愛について何を占ったというのだろう。

「響ちゃんに相性占いをさせられたんだよ。しかもなぜか中葉君と。私は嫌だったんだけど、響ちゃんが『ムッチーがしないなら、私もしない』って駄々をこねたから、仕方なくしたんだ。まぁ、ただの遊びだし、予想通りの結果だったから、私の方はどうでもいいんだけどさ」

 舞が意味あり気に響歌を見た。みんなに響歌の結果を言いたくてたまらないのだ。

 響歌が文句を言おうとすると、その前に歩が目を輝かせて詰め寄ってきた。

「響ちゃんの占い相手って、もちろん橋本君だよね。相性はどうだったの?」

「でも、歩ちゃん。響ちゃんが手にしているのって、1枚じゃなくて2枚だよ。これはもしかしなくても橋本君だけじゃないよ」

 紗智が目ざとくもそれに気づいた。

「きっと橋本君と黒崎君だよ。響ちゃんって、なんだかんだいって黒崎君のこともまだ気に入っていると思うもの。ね、響ちゃん。そうでしょ?」

 真子も声を弾ませていた。

 3人の怒涛の言葉により、響歌は舞に文句を言う機会を失ってしまった。

 好奇心丸出しの目で3人から見られては、白状する他に道は無いだろう。

 響歌は仕方なく結果を伝えたのだった。

 戸惑っている響歌の前で、歩はとろけるような笑みをしていた。

「それにしても本当に凄いね。響ちゃんって、橋本君と黒崎君の2人共と相性が抜群にいいんだもん」

 自分のことのように喜んでいる。歩はやっぱり他人の恋愛事情に首を突っ込むのが大好きなのだ。

 紗智は感心しながら響歌の結果用紙を見ている。

「本当だよ。いくら占いでも、これだけ高いと驚くわ。誰とでも高くなるように設定してあるんじゃないかと疑いたくなるけど、ムッチーと中葉君の結果は45%だからそういうわけでもないみたいだし。これだと今、占いをしているまっちゃんの結果が非常に気になるところよね」

 紗智の言葉に、舞の目は自然とゲームセンターの中にある占いボックスの方へと向いた。

 今、真子が占いをしているのだ。相手はもちろん高尾だ。

 自分達が真子に勧めたわけではない。真子の方から自分もしてみたいと言ったのだ。

 ちなみに舞達がいるのはゲームセンターの中ではない。その入口で真子を待っていた。さすがにあの騒音の中、話しているのは落ち着かなかったのだ。

 外で真子を待っている間の話題は、やはり響歌の占い結果のことだった。それだけ紗智や歩にとっても驚きの結果だったのだけど。

「まっちゃんはどんな結果になるんだろうね」

 舞は真子のことが気になっていた。

 ただの遊びだというのは十分わかっているが、やはり真子と高尾の結果も気になってしまう。

 占いだと、2人の相性はどうなのだろう?

 現実としては0%に近いが、遊びの中でくらい良い相性になっていて欲しい。

 そう思うのだが、どうにも不安だった。

 それは舞だけではなく、他の3人全員が感じていたことだった。

 はっきりと口に出す者はいなかったけれど…