「玲央さんに、謝りたい、です…っ」
「萌々…」
あの日から、私は玲央さんに会えていない。
何度も「会いたい」と言ったけど、玲央さんの方が拒否をしているようで…。どうやら拒絶されたみたいだった。
きっと、あの日――衣装部屋にいたのが私だってバレてるんだと思う。声なんかは丸々私だったし…。だから、なのかな。
勝手に事情を知ってしまった私を、きっと玲央さんは許してくれない。だけど…だからこそ謝りたい。あの日の事も、今までの事も全て。
「…っ、ぐす」
「……」
半泣きでカバンの中身を整理する私を見て、皇羽さんは「はぁ」と息を吐き自室へ入った。
直後――「はい」と。皇羽さんの手が、私の目の前に現れる。その手の上には…黒こげの四角の箱があった。