『ワアアアァァー!!』
会場にいる観客の声が聞こえる。ここまで、鮮明に。
きっと二曲目が始まったんだ。
皇羽さんがレオをして、 Ign:s は今までと同じようにパフォーマンスが出来ている。玲央さんを一人、この暗い部屋に残して。
『レオ―!!』
『キャー!レオ―!!』
『こっち向いて―!』
本物のレオがここにいるとは知らないファンの歓声を、私と玲央さんはただ聞いていた。
その後も、なりやまない歓声に終止符は打たれないまま――熱気に包まれたコンサートは、皆に惜しまれながら終わりを告げる。
そして後日――私は皇羽さんから話を聞く。
そこで初めて、玲央さんが小児喘息を患い、今もなお苦しんでいるということを知らされた。