「皇羽、さん…?」

「お前は…もっと自分が可愛いって事を自覚しろ」

「へ?か、かわいい…?」



私が⁉いや、まさかね――と思っているのを見透かされたのか、皇羽さんは私の頬に手を添えて輪郭をなぞる。俺を見ろ、と言わんばかりに。



「お前はファンの怖さを知らねぇ。ファンは…大体は良い奴だが、中には度を越える奴もいる」

「度を、超える…?」



「詳しくは知らなくていい。けどな…世間知らずなお前が、度を越えたファンに巻き込まれねーか…。それだけが心配なんだよ」

「! し、心配って…」



顔を赤くした私を見て、皇羽さんは「どうした」と覗き見る。いや、どうしたも…こうしたも…!



「(好き…って、自覚した後だから……どうやって接したらいいか分からない…!)」



そんな事を当の本人に言えるはずもなく。私はただ「大丈夫です」と繰り返す。