再びリビングに戻って、ペンを片手に、高速で情報誌をめくる。



「スマホがあって良かった!とりあえず片っ端から電話してみよう…!」



頭の中の皇羽さんをかき消すように、情報誌へ目を移す。そして――



「え、明日から?本当ですか!ありがとうございます…ッ!」



私は何とかバイト先を見つける事が出来た。良かった、ひとまず安心…!


皇羽さんに「バイト決まりました」と報告しないとなーと思いながら…けれど、その後も本人と全く会わない生活を繰り返した。


二日が経ち、三日が経ち、四日、五日――


そして――ついに。



「来たよ、萌々!」

「う、うえぇ…すごい人……っ」

「こら。うちわの入ったトートバックを嘔吐袋にするんじゃない!」



うちわを持った私たち。


すごい人をかき分けて、目指す先は――



「今日は Ign:s の晴れ舞台!めいいっぱい楽しむぞー!」

「お、おぉ~…っ」



今日はついに、 Ign:s のコンサートの日です…!