「勝手につまみ食いしやがって、何が“気に入った”だ。

俺が最初に見つけたんだ。気に入られたかったら、全力でこいつを手懐けてみろよ」



こいつ――と言った時に、皇羽さんは私の栗色の髪を撫でた。私を見ながら、器用にリモコンを操作してテレビを消す。



サラサラと。皇羽さんが私の髪に手を通す。


髪が手から順番に滑り落ちていく時に、ふわりと、良い匂いが二人を包んだ。その匂いは、皇羽さんからも香っていて…。



「やわらけー髪。それに、俺と同じ匂いがする」



シャンプーもボディソープも洗濯洗剤も。全てすべて、2人一緒の同じ匂い。当たり前、なんだけど…



「はぁ…たまんねぇな…」



皇羽さんは堪えきれない笑みを隠そうともせずに、口元に弧を描く。


そして不敵な笑みをニヤリと浮かべて、呟いたのは、こんな事。