その4
麻衣



「私、あなたが気に入ったわ。一生懸命やってくれれば、あなたのやりたいことにも協力できるかもですよ」

「…」

まだ取り乱している真樹子さんには、私の言ってる意味、よくわかっていないようだ

「あなたへの面接場所、ここにしたのもその為よ。悔しい思いしたんでしょ、ここで。あの二人に仕返ししたい?」

「…、いや、私がそんな目にあったのは、違う奴らのせいだ。そいつらの方が憎いわ」

ここで私の体から抜け、真樹子さんは、目を吊り上げてそう言った

「そう…、で、誰なの?そいつらって」

「南玉の総長補佐やってる相川よ。それに、その女に夢中になってる南部聖一の弟。あともう一人…、そいつの連れの女子高生も。そもそもその女が、おまわり来るってはったりかましやがったんだ…、クソッ!あいつさえいなきゃ…」

「…」

ほー、実に興味深い面子が並んだもんだ(笑)

思わずあっけにとられちゃったよ、私


...



「その女子高生、ええと…、名前は分かんないけど、足がやたら速くて背も高くて…。南部テツヤと仲が好さそうだったけど…」

「真樹子さん、やっぱり私たち、繋がる運命だったみたいね。その3人、私とも利害関係ありよ。あなたの思い、私が預かるわ」

「え?じゃあ、仕返ししてくれるの?」

「時期が来れば、それなりにあなたの気持ちに応えられると思う。だから、私にはしっかり協力よ。いいわね?」

「うん。約束しますよ。あんたに着いてく覚悟はできたし。今までとは私、違う気がする…」

ケバイ顔だが、その目はさっきまではなかった輝きがあった


...



フフフ…、もう一人の女は間違いなく、亜咲さんちの隣に住んでる横田って子だ

あのカモシカ女とドスケベ男、ワンセットでこうも早く”引出し”から飛び出てくるとはね

それに何と、相川夏美だよ、標的の…

その後、真樹子さんから”事”のいきさつ詳しく聞いたら、そりゃたまげたわ

あのスマした補佐さん、”影”じゃ、そういことかいな

こりゃ、おもしろい”組立て”ができるかもな…

とりあえず、剣崎さんに持ってく計画は出来上がってたんだけど、”ひと捻り”加えるとしよう

バリエーションの幅、広がるってもんだわ、ハハ…

さあ、どんどん行くぞ!

裏も表も同時進行だ