作者ナビゲート解説❷



レッドドッグス結成と相馬豹一の庇護獲得…。この二つの事象は、麻衣ロードを走る上での、言わばシューズとタスキ&スリリングな日々は猛スピードで展開されて行きます。それは、多くの存在を触発し、引き寄せながら…。


しかし…、その反面でこの時点での麻衣は、厳密には走り出していなったのです。なぜか…。それは言うに及ばず、高原亜咲の存在があったからです。


麻衣が北田久美、高滝馬美らとレッドドッグスを結成したのは、実は憧憬する高原亜咲を悲願だった南玉連合公認チームのトップとして、復帰させる動機からでした。


無論、”その後”を見据えた青写真は含有させていたものの、同じような家庭事情の元にあった心の姉に対して、本来、3代目南玉総長に就いていたはずの亜咲を想う麻衣のその時点でのメンタルは、過去に幾多の修正・加筆を経ても、作者として大事に残してきたのです。


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ところが、その亜咲が思いのほか、あまりに早くドッグスのアタマを降り、南玉を再び抜けることになったことで、麻衣の次なる視界は一気に急変するのでして…。それこそが、まさしく『ヒールズ』のその後の物語と麻衣の運命そのものを大きく変えることに直結します。


そう…、高原亜咲の存在とその去就こそが、『ヒールズ』のベクトルを麻衣が誘導する決定打となっていたと言えるのです。


つまりは、高原亜咲との別れイコール、麻衣にとっての”出走”開始となる訳で、それ以降、都県境の様相は津波に押し寄せられるがごとく激流に呑み込まれていきます…。