おばさんは青い座布団に腰を下ろし、線香を立ててから静かにりんを鳴らした。
「春香ちゃんが引っ越して……三年後だったかしら。あの子を蝕んでいた病魔が……あの子を連れて行ったの」
「……どうして」
咄嗟に呟いてから思い出した。そういえば真帆ちゃんとの手紙のやり取りが途絶えたのもその頃だ。
「ねぇ、春香ちゃん。覚えてるかしら? 真帆が八歳の頃、交通事故に遭って手術をした時のこと」
「はい……」
「その時受けた輸血でね。あの子は不幸にも病気にかかってしまって……もう五年ほどしか生きられないって医者から余命宣告を受けたの」
「え」
輸血で病気にと考え、HIVか何かだろうかと思い付くが。気安く聞ける雰囲気ではない。私は唇を噛み締め、俯いた。
「たった八歳だったのよ、あの子はなにも悪くないのに……。何であの子がっ」
当時の経緯をまざまざと思い出してしまうのだろう、おばさんは仏壇に向かったまま洟をすすった。
「春香ちゃんがあの子に言ったのよね? “ボール取ってきて”って」
ビクッと肩先が震えた。
おばさんの低く恨めしい声が地を這い、私の罪悪感を呼び起こす。
「春香ちゃんが引っ越して……三年後だったかしら。あの子を蝕んでいた病魔が……あの子を連れて行ったの」
「……どうして」
咄嗟に呟いてから思い出した。そういえば真帆ちゃんとの手紙のやり取りが途絶えたのもその頃だ。
「ねぇ、春香ちゃん。覚えてるかしら? 真帆が八歳の頃、交通事故に遭って手術をした時のこと」
「はい……」
「その時受けた輸血でね。あの子は不幸にも病気にかかってしまって……もう五年ほどしか生きられないって医者から余命宣告を受けたの」
「え」
輸血で病気にと考え、HIVか何かだろうかと思い付くが。気安く聞ける雰囲気ではない。私は唇を噛み締め、俯いた。
「たった八歳だったのよ、あの子はなにも悪くないのに……。何であの子がっ」
当時の経緯をまざまざと思い出してしまうのだろう、おばさんは仏壇に向かったまま洟をすすった。
「春香ちゃんがあの子に言ったのよね? “ボール取ってきて”って」
ビクッと肩先が震えた。
おばさんの低く恨めしい声が地を這い、私の罪悪感を呼び起こす。



