猫と髭と冬の綿毛と


時が過ぎれば解決する、などと誰が言い出したのか問いたい。

一ヶ月の間で何かの拍子に取り出し、二ヶ月を越えて贈り物に誰かが触れて来る。

擦れて千切れそうな紐を外し、ゆっくりとレンズを覗き込む。

それは、どこか遠い空を割いて、大輪の花を描いたように広がる。

きらきらと、光の粒が溢れて、弾けては瞬く。

くるくると、輝きを増して、静かに落ちてく。


同じ空の下、彼女はどこで何をしてるのか、誰を想っているのか。
少しは自分のことを思い出してくれるだろうか……。


模様を合わせながら、零れて浮かび上がる輪郭。

咲き誇る中に彼女の表情が重なる。


これほどまでに感傷に浸る理由は目の前に有る。

関係者に連れ出された飲み屋で、日本の番組が大きなテレビに流れていた。

互いにグラスを口にしながら、思わず耳を傾けたが、周りの騒ぎで情報が全く聞き取れない。

けれど、映像を見る限りでは彼女は元気そうだった。
髪が伸びた以外に綺麗な姿は変わらないが、少し痩せた様子と物憂げな顔が気になる。

おそらく、また別の恋が始まったせいかもしれない。

こうして飽きもせず、彼女に恋をしたまま、自分だけが嫉妬し続ける。