余命1年の人生

「美味しいー!」

楓が買ってくれたのは私の大好きなレモンティーだった

覚えててくれたことが何より嬉しかった

「あ、桜の木だ。もう散っちゃったね」

入学式の時は満開だったのに、もうすでに桜の花びら1枚も残っていなかった

「桜の花びらを手のひらに乗せてさ、息を吹きかけると綺麗に空を舞うって本当なのかな?」

私は昔、漫画やドラマを見た時女優さんが桜の花びらを楽しそう拾ってる姿を思い出していた

「どうなんだろうね?もう散っちゃったから来年かな〜?」

「来年こそやってみようぜ?」

そんな思いを胸に来年の春が既に待ち遠しくなっていた

入学式の時、桜が空を覆っていた

あの時の桜は綺麗だったな