六月の月に愛を誓う。

「いいんだよ。わかってるから。俺じゃ美緒先輩をこの先ずっと誰よりも幸せにしてあげることはできないって。先輩はきっと俺を傷つけたって落ち込むかもしれないけど、俺も同じくらい先輩のこと傷つけてたから。この先取り返しのつかないことになる前に、先輩と離れることができてよかったのかもしれない」

「まあーたしかに?律希はちょっと重いし、振られるのも納得かなー」

「なんだよ」


てっきり慰めてくれるのだとばかり思っていたのに、沙耶は面白そうに笑っているだけだった。


「振られた俺をからかいに来ただけかよ。はー帰ろ帰ろ」


沙耶を置いてスタスタと歩き出すと、慌てたように後を追いかけてきた。


「あ、でも、律希は最高の当て馬だったよ!」

「別にそれ慰めにもなってねぇけど」

「美緒先輩にとっては最高の当て馬で、私にとってはずっとヒーローなんだから!」


ピタッと立ち止まり後ろを振り返ると、沙耶はみるみるうちに顔を赤くしていった。


「…って、やっぱ今のなし!私のヒーローは美緒先輩ただ一人!」

「ぶっ、なんだよそれ」


堪え切れなくなり思わず吹き出すと、沙耶は顔を赤くしたまま拗ねたようにそっぽを向いていた。