六月の月に愛を誓う。

「私は…」

「濃厚チーズケーキ、でしょ?」

「え?」


言う前に食べようと思っていたものを当てられてしまい、驚いて目を見開く。


「カフェのチーズケーキが大好きって前に言ってたもんね。メニューのチーズケーキ見て、もし美緒が来たらこれ食べるだろうなって思ってたんだよ」


小さく笑った絢斗の笑顔は昔のまんま優しくて、胸がキュッと締め付けられる。

そんな些細なこと、覚えてくれていたんだ…。


「…それで、お願い」

「はい。ごゆっくりどうぞ」


絢斗はぽんっと優しく私の頭に手を置くと、そのまま去っていった。

ふと、隣の席の女子二人組がほうっと頬をほんのりと赤く染めながら、絢斗の後ろ姿を見送っていることに気づく。

周りを見渡すと、女性客の大半が絢斗に見惚れている様子だった。


「絢斗さん、顔がいいから付き合ってる時大変だったでしょ?」

「え、いや、たしかに告白は何回か受けてたみたいだけど…」