六月の月に愛を誓う。

「私は律希が好きだけど、律希が好きな人はずっと変わらない」


沙耶ちゃんは真っ直ぐに律希だけを見つめていた。

スタートの合図で飛び出した律希は一番速くお題の紙をめくると、キョロキョロと何かを探し始めた。

そして、こちらを振り向いてきた律希と目が合うと、眩しいくらいの笑顔になって…。


「美緒先輩！」


私の名前を呼んできた。


「律希は、先輩が思ってるよりもずっと美緒先輩のことが大好きだっていうのに、何をそんなに不安になるか全然わからない。…ムカつくけど、私がどんなに頑張ったって律希は一人の女の子しか、先輩しか見えてないから」

「え…」

「先輩、来て！美緒先輩が必要！」


悲しそうに、だけどどこか吹っ切れたように微笑んだ沙耶ちゃんに背中を押されて、律希の前に出る。


「え、あの、私…」

「説明は後！とにかく走るよ！」


律希に手を引かれるがままに走り抜け、結果的に無事一位を獲得して借り物競走は終了した。